NFCアンテナ設計・共振調整・解析&センサ搭載無線モジュール開発
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アンテナに、13.56MHzの電流が流れたときの抵抗と、その抵抗が通信距離に与える影響を考えます。
PCBで作られたアンテナ・パターンに13.56MHzの電流が流れたとき、表皮効果により、アンテナ・パターン表面に電流が分布します。
表皮深さδは(1)式で表され、銅箔パターンの場合約18μmです。
σ:銅の導電率、μs:銅の比透磁率
Fig. 2 に、導体表面から中心に向かって電流分布を示します。
電流の分布が表面の電流値の1/e(37%)に減少する表面からの距離(深さ)を表皮深さ δ といいます。
いま、表面から表皮深さδまでの範囲で、電流が一様に流れるとすると、
電流が流れる範囲は、t>2δのとき(Fig. 3)、t≦2δのとき(Fig. 4)のようになります。
抵抗値 r は、それぞれ(2)式および(3)式で表されます。
Fig. 5 に、抵抗値 r とパターン厚さ t の関係を示します。
t<2δ (36μm)において、抵抗の増加率が大きくなります。
Fig. 6 に、通信距離 z とパターン厚さ t の関係を示します。
t<2δ (36μm)において、通信距離への影響が大きくなります。
(Fig. 5 とFig. 6 では、アンテナ・パターンの中心の長さが等しい2種類のアンテナの場合をグラフにしました。)
(Fig. 6 は、「NFC Antenna Designer」によるシミュレーション結果)
以上より、
・アンテナパターン厚さ t が 2δ より薄くなるにしたがい、抵抗の増加率が大きくなります。
・アンテナの抵抗は通信距離に大きく影響し、抵抗が増加すると通信距離は短くなります。
・上記検討結果より、アンテナパターン厚さ t は、表皮深さ δ の2倍の36μm以上にした方が良いでしょう。
・さらにPCBの公差を考慮すると、パターン厚さの公差±5μmの場合、36+5=41μm以上が良いと考えます。
2016.01.14