NFCアンテナ設計・共振調整・解析&センサ搭載無線モジュール開発
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NFCタグの等価回路を個別素子で構成したものを、「模擬タグ、等価回路タグ」と呼んでいます。
等価回路タグ(模擬タグ)を用いると、各社製品のNFCタグLSIそれぞれの特性に影響されることなく受信電力の測定などを行うことができます。
ここでは、共振周波数に与えるオシロスコープ用プローブの影響を調べました。
【 NFCタグの2種類の等価回路 】
(1)ダイオード1個を用いた半波整流回路
図1に、ダイオード1個を用いた半波整流回路を示します。
(2)ダイオード2個を用いた半波整流回路
図2に、ダイオード2個を用いた半波整流回路を示します。
図3は、ダイオード4個を用いた全波整流回路で、水色線は交流電圧半周期の電流の流れを示しています。
ダイオード2個を用いた半波整流回路は、この電流の流れの部分を取り出した回路に相当します。
1層の基板パターンで実現でき作製が簡単であり、また、全波整流の必要もないので、ダイオード2個を採用しました。
【 評価方法 】
負荷抵抗にプローブを接続していない状態と、接続した状態で共振周波数を測定しました。
図4に、共振周波数測定の構成を示します。測定方法は、「ネットワークアナライザVNWA3Eを用いた共振周波数測定環境構築例」を参照ください。
【 結果 】
図5に、ダイオード1個を用いた半波整流回路の共振周波数測定S11の結果を示します。
プローブを接続することにより、共振周波数の測定値が、13.560MHzから13.487MHzに変化しました。
図6に、ダイオード1個を用いた半波整流回路の共振周波数測定S11の結果を示します。
共振周波数の測定値(13.563MHz)に、変化はありませんでした。
【 まとめ 】
・負荷抵抗の両端にオシロスコープ用プローブを接続すると、共振周波数に影響を与える場合があります。
・ダイオード1個半波整流回路はプローブの影響を受け共振周波数が変化しますが、
ダイオード2個半波整流回路ではプローブの影響を受けません。
負荷抵抗に発生する電圧を測定する場合などでは、アンテナと負荷抵抗がダイオードによって分離された等価回路を用いると
共振周波数に影響を与えず測定することができます。
2016.04.03